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​熱い思いで防災クラブを立ち上げてから1年。

​どのような活動をされているのか

お話を伺いました。

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こんにちは。CARMの尾崎です。

今回は、防災をもっと身近に感じてほしい・災害で傷つく人を少なくしたい。そのような思いで平成30年4月に地域の防災訓練を楽しくサポートする活動や小さなお子さんがいるご家族を対象にした防災講座を開催してきた東三河防災クラブ(以下、防災クラブ)の岡田さんにお話しを伺いました。

​東三河防災クラブホームページ:https://e-mikawabousai.wixsite.com/index

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​ 尾崎

​岡田さんは、私の先輩でありCARMの前任者で、防災クラブも岡田さんの誘いで一緒に立ち上げました。

岡田さんとは結構長い付き合いですが、改めて簡単な自己紹介をお願いします。

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岡田さん

​岡田恵実(おかだ・えみ)と申します。

生まれも育ちも豊橋の、生粋の豊橋っ子で、現在は、豊橋市役所で育休代替の任期付職員として働いていますが、正規職員目指して勉強中です!

​1児の母です!!

また、防衛省陸上自衛隊の一般公募予備自衛官として予備陸士長(をしています!

※「予備陸士長」は非常勤の特別職国家公務員

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​ 尾崎

改めて聞くと、岡田さんは何者なんだろうって感じますよね。とくに自衛官。

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岡田さん

一緒にやろうよ!!

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​ 尾崎

圧がすごい・・・(笑)

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岡田さん

(笑​)

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​ 尾崎

​岡田さんはすごく熱心に防災について活動されていますよね。いつから防災に興味があったのですか。

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岡田さん

1995年の阪神淡路大震災が、防災を意識するきっかけかなと思います。

​当時、私は小学4年生で、今でも鮮明にその時のことを覚えています。

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​ 尾崎

私はまだ3歳だったので全然記憶が無いんですよね。

ただ、​あの日はトラック運転手の父が仕事でたまたま大阪にいましたが、あまりの揺れに死を覚悟しながら必死に運転席の椅子を掴んだそうです。

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岡田さん

生きていてよかったね・・・!

あの日、豊橋でも、ゴオオオオオオオっていう音がしてすぐ揺れが始まったんだよ。

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​ 尾崎

​地鳴りって本当にあるんですね・・・。

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岡田さん

​横で寝ていた父を起こして「地震だよ」と伝えたものの、「大丈夫」と言われて。その2時間後、レスキュー隊として家を出た父はしばらく帰ってきませんでした(笑)

当時、テレビに映し出される被災者の悲しむ姿、父のつらそうな顔を見て、「防災​」に興味を持ちました。

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​ 尾崎

「人を救う」ために神戸に向かったのに、目の前で命が消えていくというのは想像を絶しますよね。

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岡田さん

​そのときは自分に何ができるのかわかりませんでしたが、中学校に入学した矢先、1学年全員で被災地である神戸の仮設住宅で孤独死が頻発している問題について考える授業があり、豊橋駅前で義援金を募る活動を行いました。ときに、見ず知らずの人から「震災は終わったよ」と言われることもありましたが・・・。

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​ 尾崎

「震災は終わったよ」って結構心を抉る言葉ですね。

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岡田さん

被災地と関係がないと実感もわかないからなんだよね。

でも、自分たちも「孤独死​」を学ぶ機会がなければどこか忘れかけていた「震災があった」という事実と、「終わっていない」ことを発信するため、夏休みを利用して義援金をリレー形式で神戸まで歩いて渡しに行きました。

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​ 尾崎

​リレー形式といえ、神戸まで大変ではなかったですか。

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岡田さん

大変でした。しかし、その足で仮設住宅を訪問し、そこで生活されている方のお宅に泊めていただいたのですが、その時にお世話になったおばあちゃんが、「昼間はみんなと一緒なんだけど、夜になって部屋に戻ると寂しくてね」とポロポロ涙を流す姿を見て、こんな悲しい思いをする人がいることが悲しくて​、小学生の時に感じた「防災」への興味がまた湧きました。

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​ 尾崎

先程、「そのときは自分に何ができるのかわからなかった」とおっしゃっていましたが、今は防災クラブとして活動されていますよね。義援金を届けてから防災クラブ立ち上げまで、「自分ができること」がわかった瞬間はなんだったのでしょうか。

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岡田さん

2011年3月に発生した東日本大震災は、「自分にできることは何なのか」ということを考え直すきっかけになりました。テレビに映し出される被災地の映像の中に、迷彩服の人が沢山いて、災害時、なにげによく目にするけど何をしているのかよく知らない「自衛隊」という組織に猛烈に興味をもちました。

いろいろ調べていくうちに、自衛隊の広報を行っている地域事務所が市内にあることを知り、お話を聞きに行ったら、お話を聞くだけのつもりが予備自衛官補()という存在を知り、試験を受け、訓練に参加し、予備自衛官になりました。

その後、気づけばCARMに所属し、いろいろな立場から防災に関わるようになっていました。

※「予備自衛官補」は学生や社会人などの一般の人を対処とした自衛官未経験者を予備自衛官補として採用し、所要の教育訓練を経た後、予備自衛官として任用する制度

​出典:https://www.mod.go.jp/gsdf/reserve/yobijiho/index.html

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​ 尾崎

冒頭でもあった「災害で傷つく人を少なくしたい」という想いはその経験からきているんですね。

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岡田さん

また、「東三河防災カレッジ」のNPO法人・プラス・アーツ理事長である永田さんの講座を聞いたときに衝撃を受けました。

私の知っている防災訓練は、先生が(全員が)避難し終わるまでにかかった時間を計り、避難するのが遅れると「こんなタイムではみんな本番では死んでしまいます」と注意されるような厳しいものだったので、プラス・アーツさんが監修されている「イザ!カエルキャラバン」のような ”楽しみながら防災を学ぶ” 防災訓練があることが衝撃で、同時に、防災の知識を子どもたちに伝える重要性、楽しいからこそ覚えられるということに共感し、地元豊橋でこのような楽しみながら防災知識を身につけられる防災講座やイベントを開催したいと強く願うようになりました。

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​ 尾崎

​豊橋では”楽しみながら防災を学ぶ”イベントが少ないですよね。どこかお堅いイメージもあります。

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岡田さん

堅いからこそ足を踏み入れにくいところもあるよね。

私のまわりには幸い、防災に興味がある方がたくさんいたので、その方々とお話して、地域の人のためにみんなで何かしたいねと活動開始に向けて動きだしたところ、ちょうど豊橋市の「平成30年度市民協働推進課補助金事業」()の​募集が行われていたことに後押しされ、「東三河防災クラブ」という任意団体の立ち上げに至りました。

※「市民協働推進課補助金」は、市民協働によるまちづくりを推進することを目的に、非営利で、不特定多数の人のた めになる、自主的な活動、いわゆる「公益的社会貢献活動」を行う団体の活動を支援するための補助金 です。

設立後5年未満の団体が行う事業を対象としています。 補助を受けられるのは、ひとつの団体につき1回のみです

​出典:http://www.city.toyohashi.lg.jp/33307.htm

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​ 尾崎

岡田さん、ものすごく熱く語ってましたよね。忘れられません。

ところで、メンバーはどのような人たちで構成されているのか教えてください。

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岡田さん

自治会防災連絡協議会役員、元消防士、元女性防火クラブ会長、とよはし防災リーダー、主婦、会社員、市役所防災関係者など様々です。そして、尾崎さんと私です。

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​ 尾崎

メンバーの肩書を聞くとお堅く見えてしまうんですが、防災クラブは誰でも入ることができますか。

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岡田さん

「東三河」とうたってはいますが、どこにお住まいの方でも、同じ思いをもって誠実に活動していただける方であればどなたでもご参加いただけます。最終的には、全世界に羽ばたきたいというでっかく果てしない夢があります。

お問い合わせはホームページ内のメールフォームよりいただければと思います。また、現在は、活動に必要となるT​シャツと名札の制作費1,500円を入会金としてお願いしています。活動資金は基本的には無いため、ご寄附などいつでも受け付けております♡

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​ 尾崎

​防災クラブは定期的な集まりがありますか。

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岡田さん

活動の拠点があるわけではないので、定期的な集まりはありません。活動があるときなど、必要に応じてLINEやメールで調整をして、校区市民館などをお借りして集まっています。

「無理なく楽しく活動​する」をモットーにしているため、無理に定例会などを持とうとはあまり考えていません。

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​ 尾崎

​防災クラブの今まで行ってきた活動内容について教えてください。

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岡田さん

わたしたちは、以下の3つを柱として活動しています。

1つ、地域の防災訓練を、子どもと大人が一緒になって楽しみながら学べるものにするお手伝い

2つ、身近なものを使った防災グッズ作り・応急手当ワークショップ

3つ、小さなお子さんがいるご家庭向けの防災講座

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​ 尾崎

今までにも数回講座を行いましたが、何か反響はありましたか。

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岡田さん

平成30年度には、豊橋市民協働推進補助金事業として、汐田校区防災訓練にて、自宅避難に必要になるグッズをクイズ形式で紹介するコーナー、チーム対抗バケツリレーコーナーを展開し、地域の方に楽しく防災知識を学んでいただき、「すごく楽しかった!!」というお声を頂くことができました。

また、こども未来館ココニコ「子育講座」の1つとして、妊婦中の方または​3歳児以下の保護者の方を対象にした防災講座を行った結果、ココニコさんから防災に関するご相談を頂くことができるようになり、今回、「東三河防災カレッジ」にも含まれている「イザ!カエルキャラバン」の開催に繋がりました。

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​ 尾崎

今まで開催した講座からどのような課題を感じましたか。

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岡田さん

お子さんを対象にした講座では、学年によってはなかなか中に入ってこられないような難しいお年頃の子もいるので、そこを上手に講座へ参加してもらえるようなスキルを磨く必要があるなと感じます。「やりたい人!」ではなく、ちょっと強引ですが「先頭から順番に」など強制的に参加してもらうという手法を学びました。

​大人については、防災訓練には若い世代の参加が少ない傾向にあるので、お子さんを対象にしてその親御さんにも参加してもらうという方法でやっていくことが大事だなと感じています。

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​ 尾崎

子どもたちは学年によって反応が様々でしたよね。どうしたら興味を持ってもらえるのか、とても考えさせられました。

「イザ!カエルキャラバン!」は、今回、CARM以外にも、東三河防災クラブ、こども未来館ココニコ、豊橋市役所防災危機管理課、昭和電線ケーブルシステム㈱、そしてボランティアの皆さんが一丸となって開催しましたよね。親子連れが沢山来てくださいました。実際に開催してみていかがでしたか。

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岡田さん

「イザ!カエルキャラバン! in とよはし」は、告知期間が1ヶ月ほど短かったにもかかわらず、イベントには約300名の参加者があり、館内では絶えず楽しんでいる子どもたちのかわいい声が響き、大人も子どもも笑顔が溢れる楽しいイベントになりました。

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​ 尾崎

​私もスタッフとして参加しました。当日、ココニコに遊びに来ていた親子連れも参加してくださって、さらに盛り上がりましたよね。防災の輪が広がっていくのを目の前で感じました。スタッフの皆さんも楽しみながらやっていました。

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岡田さん

​私も楽しかったです!

もっと地域の特色を取り入れローカライズを行ったり、こんな風にしたらどうかというアイディアがスタッフさんとの会話の中でも出てきたので、それらを取り入れたものを早くやってみたいです。

そして、来年度以降も続けていこうという根付く活動になったと思います。

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​ 尾崎

​今までの経験を踏まえ、これからどんな活動をしていきたいですか。

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岡田さん

​現在も行っている、地域防災訓練を楽しくするお手伝いや、小さなお子さんがいるご家庭向けの防災講座、身近なものを使った防災ワークショップなど、地域に根差し地域で生きる”防災の種”を蒔く活動を続けていきたいと考えています。

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​ 尾崎

”防災の種”!!ぜひ花が咲いてほしいです!!!

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岡田さん

咲いてほしいね!

この種が地域で育ち、わたしたち東三河防災クラブのお手伝い無しで、地域の方たちのお力で”楽しみながら身につく防災”を行っていただけるようになることが、野望です。

​東三河で必要とされなくなって、もっと広く、最終的には世界で活動できるようになったら面白いなあと思っています!!!

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​ 尾崎

その野望が叶うことを私も願っています!

​では、みなさんに一言お願いします。

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岡田さん

「自分の身は自分で守る」という言葉を、最近よく耳にします。

私なりには、頭では理解したつもりでしたが、豊橋市の最新の地震体験車(起震車)に乗る機会があり、そこでこの言葉の意味をしっかりとイメージできるようになりました。

発災時、わたしは自分の子どものそばにいないかもしれません。

だから、家具固定をしたり、ローリングストック()をしたり、事前にできることをしなきゃと思うようになりました。

そして、子どもに「自分の身は自分で守る」という術を知ってほしいと思うようになりました。

『防災』と聞くと、堅苦しくてとっつきにくいイメージがあるかもしれませんが、楽しく防災を学ぶという取り組みを行っている人たちが、世の中にはたくさんいらっしゃいます。

ぜひ、遊びにいくという気持ちで、そういったイベントに参加してもらえたらと思います。

​たのしく防災しましょう!!!

※「ローリングストック法」とは、非常食や平時から使う食料などを少し多めに買い、使った分を買い足すことを繰り返し、常に一定量を備蓄しておく備え方です。

​出典:https://tokusuru-bosai.jp/stock/stock03.html

防災について他人事が多い世の中で、こんなにも熱い気持ちを持った人がいるのはとても凄いことだと思います。

皆さんの周りにはいますか?

私が防災に興味をもったキッカケは岡田さんでした。

岡田さんと出会わなければ、防災について他人事のままだったでしょうし、防災カレッジの存在も知ることもなかったでしょう。

そして、岡田さんの話にあった「災害は終わったよ」という言葉に私は衝撃を受けました。

住んでいる場所に何も被害が無ければ実感も薄いでしょう。

しかし、地震が終わったからといって災害が終わったわけではありません。それこそまさに「他人事」ですね。

私にとっての「岡田さん」が、誰かにとっての「私」、または「防災カレッジ」になるよう、これからも発信していけたらと思います。

先程、「熱い気持ちを持った人がいるのはとても凄いこと」と記述しましたが、「凄い」から「当たり前」になる世の中を目指していきたいですね。

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