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防災カレッジを受講して5年。
常に人の役に立てることを。
こんにちは。CARMの尾崎です。
皆様のおかげで東三河防災カレッジも今年度で6年を迎えました。
防災をもっと発信していきたい、防災カレッジ受講者の防災意識や考えを聞いていきたいと思い、本日は、初年度から東三河防災カレッジを受講し、昨年度から長期履修生として研究を行っている、昭和電線ケーブルシステム株式会社 愛知工場管理グループ(以下、昭和電線)の白石央さんにインタビューを行いました。
昭和電線さんは、超高圧電力ケーブル、高圧電力ケーブル、特別高圧電力ケーブル、海底ケーブルを製造されています。
600Vから400kVのCVケーブル(※)なんだそう。
※CVケーブルとは、架橋ポリエチレン絶縁・ビニルシースケーブルの略
また、地球環境のために、環境自主行動計画(地球温暖化防止や科学物資の管理強化等の削減や改善)を実施したり、地域社会のためにヤギを使った除草や緑のカーテンなどの活動を通して生物多様性の保全に取り組む「生物多様性の取り組み」や、工場見学・学習協力、工場周辺の清掃作業もされています。
出典:http://www.swcc.co.jp/index.html
尾崎
白石さんは、普段会社ではどのようなお仕事をされているんですか。
白石さん
会社の安全担当や総務として働いています。
尾崎
安全担当というのはどのようなお仕事ですか。
白石さん
工場で災害がおこらないように社員を教育する、言わば教育係ですね。
尾崎
災害を未然に防ぐのってすごく大事ですよね。
白石さんは「東三河防災カレッジ」がまだ「地域地震防災コース」として開設した当初から受講されていて、防災に対して積極的に行動されていますが、そのキッカケはなんだったのでしょうか。
白石さん
3.11の東日本大震災がキッカケです。
尾崎
被害は言い表せないほど悲惨なものでしたよね・・・。
白石さん
あの日、三河港にも50cmの津波が来ました。津波警報も出ていて、弊社の岸壁や御津のアリーナに消防車が待機していました。その日は東京からお客様が見えていて、その人達の携帯にどんどん電話もかかってくるし、これは何かおかしいということで会社のみんなでテレビを見たんですが、送別会があったので私は送別会に参加しました。
尾崎
ん????
白石さん
送別会に行きましたね。
その当時はそんなにひどいことになっていると思っていなくて(笑)
尾崎
愛知県は揺れによる被害はなかったので、まさか東北が想像を絶するほど酷い状態になっているとは思わなかったですよね。
当時、私は飲食店でバイトをしていて揺れには気づきませんでしたが、いつも使用している通勤通路にある踏切がずっと開かなくて。
遠回りで帰宅し、テレビをつけたら津波の悲惨な状態が。
尾崎
白石さんは6年前から始まった、当センター主催の「東三河防災カレッジ」に何回も参加してくださっていますよね。どこでそれを知ったんですか。
白石さん
僕は2年目以外は全て受講しています。知ったのは、弊社も参加している御津の「臨海懇話会」が東日本大震災の前の年に出来て、そこからの情報です。
元々は高潮被害が予測されるこの地域で何かやっていこうと話がでていて、弊社でもBCP(※)を作成しないといけない、どうしようかと考えていたところ、講座の案内をもらったので参加を決意しました。
※BCPは「Business Continuity Plan」の略で「事業継続計画」と訳される語である。
尾崎
ありがとうございます。毎年受講してくださっている理由はなんでしょうか。
白石さん
去年は豪雨災害があったように、毎年、様々な災害が起きてそれぞれ対処方法も違います。どんどん新しい知識を入れていこう、繰り返し学べば忘れず知識をつけることができると思い、毎年受講しています。
尾崎
東三河防災カレッジは、昨年度から「長期履修コース」と「短期履修コース」の2つのコースができ、白石さんは長期履修コースを受講していますよね。「長期履修コース」の魅力は「研究」ですが、白石さんは受講生としてどのような研究を行っていますか。
白石さん
耐震や担当教員である斉藤先生が作成したソフトウェアで構造計算をしています。
弊社のシンボルであるタワーの耐震、その周りの耐震。また、製品を巻く3m~5mのドラムがあり、そのドラムは地震が来たら揺れることはわかっているので、それを防ぐためにはどうしたらいいのか斉藤先生と林先生と一緒に取り組んでいます。
昭和電線ケーブルシステムさんのシンボルでもあるこちらのタワー。
なんと・・・
「「入れ替わってる~!?」」で有名な某アニメ映画に一瞬出てくるあのタワーです。
尾崎
研究を始めてから、研究をする前と後で意識的、知識的にも変わったことはなんですか。
白石さん
20代の頃大学に通っていましたが、30、40、50と歳を重ね、社会経験を積んでから大学に行くのは、気分的にまた違うなと思いました。
尾崎
今年度も長期履修コースを募集していますが、受講している側として、受講を検討している方々へ伝えたいことはありますか。
白石さん
大学へ学びにいくことによって忙しくはなりますが、忙しいなりに時間の使いかたを考え行動するので、めんどくさがらずに研究を行うことですね。履修することにより自身の成長にも繋がるので、是非受講して欲しいです。
尾崎
自身の成長ということですが、大学で学んだ内容を会社でも活かして教育されていると思うのですが、ご自身の成長とはどんなことでしょうか。
白石さん
この地域は今まで大きな地震や災害が無いので、対策をしている人はしているし、していない人はしていないので、二極化されると思うんですね。
その中でも、大きな災害がないからこそ過信して対策していない人が多いと思います。
実際に去年の台風による大型停電では、困った方が多いのではないでしょうか。
僕は東三河防災カレッジで得た知識や、カレッジとは別に講習を受けた「防災士」などの知識を活かし、災害が起きたときに地域の皆さんのお役にたてるようにしたいと考えています。
尾崎
「防災士」ですか。沢山防災の情報をご存知なんですね。そういった情報はどこで入手していますか。
白石さん
ネットで検索したり、名古屋大学の減災カレッジにも通っているので、メルマガを登録してその情報から「防災士」を取得しました。
尾崎
東三河防災カレッジでも授与している「穂のくに防災エキスパート」に近いんですね
防災士として活動したことはありますか。
白石さん
幸いありません。知識だけです。活動しないに越したことはないんですけどね。でも、被災したとき、ボランティアの受け入れは行政だけでなく、一般の人もやらなければなりません。そういったときに「防災士」(※)という資格は役に立ちます。
※防災士とは、”自助”“共助”“協働”を原則として、社会の様々な場で防災力を高める活動が期待され、 そのための十分な意識と一定の知識・技能を修得したことを日本防災士機構(民間団体)が証明する民間の資格(検定試験)を認証した人です。
防災士資格取得により特定の権利が得られる、もしくは行動が義務づけられるといったことはなく、あくまでも自発的な防災ボランティア活動を行うということです。
しかし、多くの地方公共団体が予算を計上して防災士を養成し、防災士の社会的評価と期待は急速に高まっています。
出典:http://bousaisi.jp/aboutus-2-2/
尾崎
防災士以外でも何か資格をお持ちですか。
白石さん
資格というには違うのかもしれませんが、今年も防災カレッジの講師としてお見えになるプラス・アーツの永田さんの講座で、おもちゃの交換会と防災訓練が一緒になった「カエルキャラバン」(※)合同研修会があると知り、すぐに申し込みました。
尾崎
永田さんの講座は毎年人気で、家庭にある物を使った防災グッズや、食べ物のローリングストック法といった身近に、そして手軽にできる方法を教えてくれるのが魅力的ですよね。合同研修会の内容はどういったものですか。
白石さん
カエルキャラバンの実技講座で、開催までのプロセスや防災体験プログラムの実施方法などを教えてくれます。実際にその知識を活かし、弊社でも開催しました。
※「イザ!カエルキャラバン!」は、NPO法人プラス・アーツが監修し、地域の防災訓練プログラムと、美術家・藤浩志が考案したおもちゃ交換会「かえっこバザール」を組み合わせた家族や友達と楽しめる防災イベントです。子どもたちが遊びの延長で防災の知識を身につけられる活動です。2005年にスタートし、いまではさまざまな企業や団体と協力し、全国各地で開催しています。
尾崎
実際に開催してみてどうでしたか。
白石さん
初めての開催で反省点がありましたが、地域のこどもたちが沢山集まってくれて、瓦礫の下敷きになった人形を助け出す「ジャッキアップゲーム」や紙食器作りなど楽しそうに参加してくれましたし、好評でした。
尾崎
まさに、「楽しく防災を学ぶ」ですね!
でも、まだこの地域は「カエルキャラバン」が根付いていません。白石さんか感じるカエルキャラバンの魅力を教えてください。
白石さん
「イザ!カエルキャラバン!」のプログラムは、阪神淡路大震災と東日本大震災の被災者の声を元にして作られました。それを、ゲーム形式にして大人から子供まで楽しく防災を学ぶことができます。1回やれば誰でも覚えることができ、何回もやっていくうちに楽しく防災知識が身につくイベントです。参加費は無料ですので、この機会に是非参加していただきたいです。
尾崎
最後に皆様へメッセージをどうぞ。
白石さん
防災は考え出すときりがありませんが、まず、ご自身ができるところから始めてください。今日から何か1つ行動に移すだけでも違います。例えば、ペットボトルの水や新聞紙を溜めておく、家族で避難場所を決めておく。そういった1つ1つ出来る範囲でやっていけば、いつか来るそのときに必ず実を結びます。
白石さんにインタビューをして、まずは何か1つでも行動に移すこと。これが大事なのだと強く感じました。
実際に、私もこの仕事に就くまでは災害はいつか起きる程度の認識で、東北大震災があった年も、そのときは危機感を強く持っていても、日が経つと薄れていってしまうんですよね。
今日はヘルメットを買った。家族で避難場所について話し合った。家具の固定をしてみた。防災訓練に参加してみた。何か1つでも行動に移す。その結果がいつか来る災害で自分や家族、地域の人たちの生死にも繋がるのではないでしょうか。
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